エバーグリーンは芸術ではない。武器だった。

私にとってメガバスが芸術なら、
エバーグリーンは少し違う存在だった。

エバーグリーン という名前には、どこか緊張感があった。

華やかさよりも実戦。
装飾よりも結果。

当時、店に行けば普通に並んでいるブランドではなかった。

売っていない。
入荷は不定期。
プレミア価格。
ポイント制。

メガバスと同じように、エバーグリーンもまた“憧れの向こう側”にあった。


初心者の背伸び

まだ釣りを始めたばかりの頃。

私は一度だけ、エバーグリーンのロッドを買ったことがある。

コンバットスティック、ガニングシャフト。

モデルの特性なんて、正直よく分かっていなかった。

ただ、「コンバットスティック」であることがすべてだった。

憧れていたブランド。
それを所有できる。

それだけで嬉しかった。

だが――

硬すぎた。

初心者の自分にはまったく扱いきれなかった。

コンバットスティックにも柔らかいモデルはある。
でも、そのときはたまたまガニングシャフトを買えるチャンスがあった。

だから選んだ。

いや、選んだというより、
あの頃は“エバーグリーンなら何でもよかった”のだと思う。

結果として、使いこなせないモデルを手にした。

それでも、後悔はない。

あのときの自分にとって大事だったのは、
使いこなすことではなく、
憧れを所有することだった。


復帰後に感じた“強さ”

それから年月が流れ、釣りに復帰した。

改めてエバーグリーンのロッドを手にしたとき、
最初に驚いたのは軽さだった。

もっと重いものを想像していた。

だが実際は、拍子抜けするほど軽い。

それなのに、不思議と頼りなさはない。

軽いのに、強さを感じた。

ブレない。
芯がある。
振り抜いたあとに余計な揺れが残らない。

あの頃、扱いきれなかったブランドが、
今は少しだけ理解できるような気がした。


いまも残る緊張感

エバーグリーンは、優しくないブランドだとは思わない。

ただ、使い手にある程度の覚悟を求める道具だと感じている。

あの初心者のころの背伸びも、
復帰後に感じた軽さと強さも、
どちらも私の中では同じエバーグリーンだ。

芸術とは少し違う。

だが、フィールドで戦うための存在。

それが、私の中のエバーグリーンだ。

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